ダイエット?筋トレ?免疫力?介護予防?目的に合った筋肉にいい食べ物
筋肉にいい食べ物にはどんなものがあるでしょうか。
「筋肉にいい」といっても、目的によって内容は変わってくるかもしれません。
この記事では、筋肉にいい食べ物をその目的やタイミング別に紹介します。
この記事でわかること
・筋肉と食事のタイミング
・筋肉にいいたべもの
・コンビニで買える筋肉にいい食べ物
筋肉の主な役割はなにか?
筋肉の主な役割にはどんなことがあるのか、普段は意識していないけれど実は身体に対して筋肉が担っている重要な役割を解説します。
筋肉の主な役割は以下の通りです。
・姿勢を保持する
・血液を心臓に戻す
・代謝を上げる
・身体を衝撃から守る
・水分を貯蔵する
・免疫力を上げる
・ホルモン(=マイオカイン)を分泌する
姿勢を保持する
骨格筋は姿勢の保持にとって非常に重要です。
特に加齢によって起こりやすくなる、転倒による怪我・骨折などを予防する意味でも、ある程度の筋力を維持することが必要です。
血液を心臓に戻す
心臓へ血液を戻す際には、体の骨格筋が収縮することで血管を収縮してポンプのような役割をしています。
したがって、筋肉量が減ると血液を心臓へ戻す力が弱まってしまうので、心臓の筋肉に負担がかかってさまざまな不具合が出ます。
代謝を上げる
私たちの体温を一定に保って生命を維持する上で必要な「基礎代謝」のほとんどを実は骨格筋が担っています。
女性や高齢者などは筋肉が少ないことで冷え性になっている方も多いので、代謝を上げて体を温めることが重要です。
身体を衝撃から守る
外部の衝撃から内臓、骨、血管などを守るために、身体の中で筋肉はクッションのような役割をしています。
水分を貯蔵する
骨格筋は身体の約6割の水分を保持しているといわれます。
細胞が蓄えている水分は、体内で脱水が始まるとそれを進行させないように働きます。
細胞から脱水傾向のある血管内に水分を補填して、血液循環を保とうとしているのです。
高齢者が熱中症になりやすいのは、加齢とともに筋肉量が減っていることが関係しているからです。
免疫力を上げる
リンパ球などの免疫細胞は筋肉に多く蓄えられている「グルタミン」によって活性化されます。
そのため身体の筋肉量が減ると、免疫機能も低下するといわれています。
ホルモン(=マイオカイン)を分泌する
骨格筋は運動をするときに、さまざまな生理活性物質を分泌していることがわかってきました。
この物質を総称して「マイオ(筋)カイン(作動物質)」といいます。
代表的なマイオカインとしては以下のものがあります。
IL-6 | 糖や脂肪代謝を促して、肥満や糖尿病の予防をする |
FGF-21 | 肝臓で脂肪を分解する |
Irisin | 肥満、糖尿病の予防 |
IGF-1 | 筋肥大の促進、認知症の予防 |
BDNF | 脳の神経細胞を生育 |
知っておきたい筋肉と食事のタイミング
筋肉のために知っておきたい食事のタイミングは、運動前・運動中・運動後の3つです。
それぞれについて解説します。
運動前
空腹のままトレーニングをすると、体の栄養素が足りない状態です。
本来なら筋肉の維持や修復に使われる栄養素が、運動するエネルギーに代用されてしまいます。
せっかくトレーニングしたのに効果が低減してしまうため、運動前は空腹状態を避けるようにします。
運動中
運動中は、身体を動かして消費をしているので、食事というよりはドリンクや軽食で水分や糖分を補給するのが大切です。
運動後
運動後は、トレーニングによって傷ついた筋肉を修復するためしっかり食事を摂りたいタイミングです。
エネルギーや栄養素を大量に消費している状態なので、栄養をしっかり摂取すると、身体に吸収されます。
そのため、特に運動後45分以内に食事やプロテインを摂取するのは好ましいと言われています。
特に大切な運動前の食事のタイミングとおすすめの食べ物
運動前の時間別、おすすめの食事を紹介します。
時間に合わせて、適している食べ物を食べましょう。
●運動2~3時間前に食事を取る場合
運動前2~3時間があれば、たいていのものは運動に影響がない程度に消化されます。
具体的には、糖質や脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などです。
ご飯や汁物、おかずなどの定食形式の食事がおすすめです。
主食をしっかり食べて糖質を摂ることで、エネルギー源となる筋グリコーゲンの量が多くなり運動に効果的だとも言われています。
●運動1~2時間前に食事を取る場合
運動中に消化不良を起こすことを防ぐため、おにぎりやうどん、脂質の少ないパンなど、消化のよい炭水化物を軽く食べるのがおすすめです。
避けたい食べ物としては脂質が多いものです。
例えば、揚げパンやデニッシュ、オイルたっぷりのパスタなどは、炭水化物がメインでも運動中に胸やけなど気分が悪くなってしまう可能性が高くなるので避けるのが無難です。
●あまり時間がなく運動30分前になってしまった場合
時間が取れずに運動の30分前になってしまったら、バナナや牛乳、ゼリー飲料など、すぐに消化できてエネルギー効率の良い糖質を含むものがおすすめです。
食べるゆとりがない場合は、糖質補給と水分補給を兼ねてスポーツドリンクを利用してもよいでしょう。
筋肉量をキープしながら減量したい場合にいい食べ物
「食事は控えめにして、筋トレを頑張り、減量を成功させたい」と誰もがダイエットの時には考えるはずです。
身体への負担をできるだけ少なくし、減量を成功させるには食事のコントロールがとても大切ですが、過度な食事制限や偏った食事は体内の代謝を下げてしまいます。
その結果、脂肪が燃えにくく、リバウンドを招きやすくなります。
脂肪を増やさないようにする
体脂肪の元となるのは体内で燃やし切れなかった余剰なエネルギーなので、食事内容を筋トレとうまく組み合わせて、代謝を上げ減量しやすい体をつくることが大切です。
極端な食事制限や欠食をしない
身体の動かす量に応じて、必ずしも三食を食べなくても構いません。
しかし、極端な食事制限や欠食をせずに、体調を整えるためにしっかりと栄養補給をしてください。
一定以上の空腹状態が続くと、身体は筋肉を分解してエネルギーとして使い始めてしまいますし、脳も飢餓状態と認識してしまい、脂肪を貯めこみやすい体質に変化してしまいます。
食事はバランスや質を考える
ダイエットの際には敬遠されがちですが、炭水化物(糖質)はタンパク質を体に吸収するときや脂肪を代謝させるときに不可欠な栄養素です。
白米は玄米に、食パンはブランブレッド(胚芽パン)に、パスタの麺を小麦から全粒粉にすると、炭水化物の代謝に必要なビタミンB1や食物繊維を摂取できます。
体内への吸収が緩やかに行われるので、血糖値が上がりにくく、腹持ちも良くなるのでおすすめです。
身体づくりに必要な栄養素を不足しないように摂取する
減量中は摂取できるエネルギー量が限られるため、必要な栄養素を多く含む(栄養価の高い)食物を選びながら、健康的に脂肪燃焼や身体づくりをするようにしましょう。
肉類 | バラ、ロースなど脂肪が多いものを避ける ヒレやモモなど赤身が多い部位を選ぶ 鶏モモ肉など皮が付いているものは外す |
魚類 | 白身魚やマグロ・カツオなどの赤身を選ぶ |
乳製品 | 低脂肪・無脂肪の商品を選ぶ 豆乳は無調整を選ぶ |
調味料 | ドレッシングやマヨネーズなど必要以上の量を使わない クリームタイプのものは避け、できるだけノンオイルのものを選ぶ |
介護予防のための筋肉にいい食べ物
シニアの人達が健康的に生活して長生きするためにも、筋力・筋肉の維持は大切なポイントです。
なぜなら、シニア(高齢者)の筋肉不足は転倒などのケガにつながり、それがキッカケで要介護状態や寝たきりになってしまうケースも非常に多いからです。
シニアが筋肉をつけるためには運動だけじゃなく食事も重要
シニアが筋肉にいい食べ物として意識して摂りたい栄養素は、筋肉をつくるための一番重要な栄養素となる「タンパク質」です。
タンパク質は、身体の中で「アミノ酸」に変化し、筋肉を作る働きをします。
とくに、筋肉の合成を特に促進する「ロイシン」が含まれている食材を意識して摂るのが特に良いです。
ロイシンが含まれる食べ物 |
・まぐろ赤身、カツオ、サンマ |
・鶏肉、牛肉 |
・卵 |
・牛乳 |
・凍り豆腐 など |
タンパク質は毎回の食事で摂るようにする
シニアが毎回の食事でタンパク質を摂取する目安の量は、一食あたり20g程度になります。
なぜ毎回の摂取が好ましいかというと、三食のなかで偏ったタンパク質摂取の場合、タンパク質摂取総量が足りていても筋肉量が低下するという研究結果があることに加え、おにぎりやうどんなどの単品だけではタンパク質が必要量摂れないからです。
タンパク質が不足した時間があると、身体は筋肉の再合成ができないため、筋肉量が減ってしまいます。
元気な筋肉を維持することは介護予防に必要なこと
身体を動かす習慣を持つとともに、食事で筋肉を元気に維持するために以下の6つのポイントを心がけるようにしましょう。
1.主食、主菜、副菜を毎食そろえる
2.タンパク質は朝、昼、夕均等に食べる
3.欠食はしない
4.肉か魚を1日2品、卵と大豆製品を1日1品が理想
5.主食は毎食摂取すること
6.牛乳かヨーグルトを1日コップ1杯摂ることを意識する
タンパク質が足りないメニューの時に役に立つ食べ物
たんぱく質が足りない時には以下のように、大豆食品を積極的に食べるのがおすすめです。
種類 | 摂取量の目安 | タンパク質 |
きなこ | 大さじ2 | 3.7g |
黒豆の煮豆 | 大さじ山盛り1 | 4.0g |
生湯葉 | 30g | 6.5g |
豆乳(無調整) | 200cc | 7.2g |
納豆 | 50g | 8.3g |
高野豆腐 | 50g | 5.4g |
日本人が肉をあまり食べていない時代でも筋力があったのは、大豆でタンパク質を摂っていたおかげもあるかもしれません。
免疫力アップにつながる筋肉にいい食べ物
人間には、感染症で身体にストレスがかかると、筋肉を分解して身体を守る仕組みがあります。
筋肉が分解されて作られる成分には、免疫細胞を活発にさせ、増やす働きがあるため、筋肉をしっかり維持しておくことが免疫力アップのためにも大切なのです。
そして、筋肉の維持にはバランスのとれた食事と適度に負荷をかけた運動が必要になります。
免疫力アップと筋肉にいい栄養素と食べ物
免疫力を高めるためのバランスの良い食事は筋肉にとってもいい食べ物です。
以下にある食べ物を参考に免疫力を高め、筋肉にも良い栄養素を積極的に取り入れるようにしてみてください。
栄養素 | 期待できる働き | 食べ物 |
タンパク質 | 筋肉や血液を作るもととなり、体力がつく | 肉、魚介類、卵、乳製品、大豆製品 |
ビタミンA (βカロテン含む) |
喉や鼻の粘膜を守る | 緑黄色野菜、うなぎ、チーズなど (油と摂ると吸収がよくなる) |
ビタミンC | 身体のサビをとって、体内の働きをスムーズにする。 ストレスで消耗するため毎日摂取が必要 |
キウイ、柿、いちご、みかん、ブロッコリー、ピーマン、ジャガイモ、サツマイモ、ほうれん草など |
ビタミンE | 身体のサビをとって、体内の働きをスムーズにする。 ウイルスと戦う免疫細胞の働きをよくする |
植物油、ナッツ類、アボカド、カボチャ、パプリカなど |
ビタミンD | 免疫細胞をつよくする | サケ、さんま、サバ、きのこ類 (摂取して太陽の光を浴びることで体内でつくられる。きのこ類は油と一緒に摂ると吸収が高まる) |
亜鉛 | タンパク質の働きを高め身体のつくりかえを助ける。 ウイルスと戦う免疫細胞の働きをよくする |
カキ、牛肉、レバー、ナッツ類、卵、高野豆腐など |
食物繊維 | 腸をきれいにすることで身体全体の免疫を高める | 野菜、きのこ類、海藻類、こんにゃくなど |
発酵食品 | 腸をきれいにすることで身体全体の免疫を高める | みそ、納豆、ヨーグルト、キムチ、麹など |
筋肉を大きくする筋トレにいい食べ物
筋肉が増えれば増えるほど、何もしていなくても必要なエネルギーは増加します。
そのため、筋肉を肥大させるためには、過不足なく栄養素を摂ることが重要です。
筋肉を大きくするための具体的なメニュー
筋肉を大きくするためには、肉類・魚介類・卵・大豆製品・乳製品といったタンパク質を1日3食で十分な量を摂ることが必須となります。
タンパク質を摂取する具体的なメニューを食材ごとにピックアップしました。
食材 | メニュー |
牛肉 | プルコギ、牛ヒレステーキ、野菜の牛肉巻き、肉じゃが、牛肉とごぼうの卵とじなど |
豚肉 | 豚肉のしょうが焼き、豚しゃぶサラダ、豚汁、回鍋肉、豚肉とキャベツの重ね蒸しなど |
鶏肉 | バンバンジー、蒸し鶏のねぎだれ、親子丼、タンドリーチキン、トマト煮込み、治部煮など |
魚介類 | 海鮮丼、魚の煮付け、焼き魚、クラムチャウダー、たらチリ鍋、しらすおろしなど |
大豆製品 | 湯豆腐、高野豆腐の煮物、五目煮、白和え、ポークビーンズ、納豆とねぎのオムレツなど |
乳製品 | 野菜のチーズ焼き、フルーツナッツ入りヨーグルト、トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼなど |
コンビニで買える筋肉にいい高タンパクな食べ物3つ
いつも自炊という訳にはいかない人にとって、コンビニはとても強い味方です。
コンビニで買える、筋肉にいい高タンパクで優秀な食べ物を3つ紹介しますので、上手に活用してください。
①サラダチキン
コンビニにある高たんぱく質食材を想像するとき、一番に浮かんでくるのがサラダチキンです。
トレーニング後の身体は何よりもタンパク質が必要なので、サラダチキンを食べるタイミングとしては、運動後がベストといえます。
②プロテインドリンク
身体作りだけでなく、健康づくりにも活用されるプロテインは手軽にタンパク質が摂取できるとして活用している人も多いです。
今はコンビニでもプロテインドリンクやゼリーが販売されているので手に取りやすく、時間が無いときに重宝します。
③ゆで卵
卵は『完全栄養食』と呼ばれるほど栄養価に優れ、必須のたんぱく質はもちろん、多種多様な栄養素がバランスよく含まれています。
手軽に食べられるので、朝食や昼食のほか、トレーニングの合間の間食としても利用しやすいです。
炭水化物、ビタミンC、食物繊維を含む食材と一緒に摂ると、卵に不足している栄養を補うことができます。
筋肉にいい食べ物をしっかり食事から摂取することが大事
筋肉にとっていい食べ物は、ダイエットや筋トレ、介護予防、免疫力アップなどの目的においても、必要な栄養素は共通しています。
それぞれの目的に合わせて摂る量やタイミングを調整し、食事をするタイミング、食べるメニューのポイントをおさえて筋肉を維持できる身体をつくりましょう。